2013.10.31

母の介護を通して                  

                                         荒川 元

はじめに

 DASCOBHPは OB諸氏の国内外でのトレッキング・旅行等其々に元気に活躍されている報告で溢れており 何時も羨ましくも楽しませて頂いています。

さて小生は数年前から90歳半ばを超えた母の介護に伴い腰痛、妻は膝を患い、仲良く整形外科医院通いを続けています。何れ自分達自身も介護の世話になるのではと 母の介護を境に「介護に関して」学ぶ事にしました その一部を紹介します。

経緯

30数年以上に亘り御稽古事・食事会・旅行等元気一杯勝手気ままな独居老人生活を謳歌してきた母は 足腰の衰えにも関わらず90歳過ぎても介護保険の各種介護サービスを受けることを激しく抵抗、幾度も説得し続けた後 やっと地域包括支援センターと相談し 担当のケアマネージャーを決定して貰い、要支援1として対応して貰える事になりました。

その後母の行動に注意するも 或る日突然お米を運んだとの事で 朝方母が自宅のベット横に倒れ呻いていたのを発見。かかりつけ医師と相談し 救急車で近くのK病院へ入院。骨粗鬆症による錐体圧迫骨折との事で約2ケ月間強の病院生活を過ごし、毎日の洗濯や食事の世話で病院通いが続きました。介護保険の使用出来る入院期間(3ケ月間)も迫り 次の病院(リハビリ専門のO病院)に転院して リハビリを続け3ケ月後に帰宅しました。

やっと歩行出来るものの 体力の大幅な低下により 「下の世話」を主に毎日30分間の訪問介護の世話になり少しは楽になりましたが 今日も朝・昼・夕食の準備・洗濯等と意思疎通難で振り回される日々を過ごしています。

介護の分担

 私達夫婦の負担を分散すべく 離れて生活している小生の姉妹達が、自分達の都合に合わせ母宅へ来訪・帰宅を繰り返す為 介護負担を呈したところ「母の顔を見に来ているだけ」との返答。今日に至るまで介護に協力するという態度を変えようとはしません。

そして突然 母の遺産相続について協議を申し込まれ、預貯金・生命保険他 母の土地にある小生の古い持家を売却し等分分割まで要求されました。全て合わせても非課税範囲内ですが 遺産相続とは「財産の有無にかかわらず 争続になる」事をあらためて実感させられた次第です。

ご近所で同様に親の介護をされている人達と話合いする機会が増えましたが いずれも長男夫婦にのみ負担がかかり 介護疲れから腰痛入院(老老介護が多い)だけでなく「鬱」や離婚に至るケースも多く、且つその後遺産相続でもめて 土地・家屋を放置 数年後に競売物件の看板が立っていたりしています。私達の事象も世間並みの事かと思いつつも 更に最近 婚外子の遺産相続分を結婚した夫婦の子と平等にする民法改正も進んでおり 親の介護の有無にかかわらず等分分配であれば 益々介護放棄された独居老人が増え 孤独死が増加して行くのではと懸念しています。

介護の段階

母の体力の衰えから要介護3に認定された後 毎日「下の世話」介護からデイサービス、ショートステイの介護を受ける事が出来て 私達夫婦の介護負担も大幅に軽減される事になりました。(サービスの利用限度額も23万円/月増加し、一割負担です)

訪問介護者(ヘルパーさん)達は個人差もありますが 母の糞尿等の汚れを要領よく処置されて行く姿に毎日感謝しています。ただ腰痛を抱えている人が多く介護は過激な仕事であるが故の転職・退職も激しいです。一方親と同居しておれば こうした在宅介護サービスを受ける事が難しく 母が独居生活を続けた事も幸いしています。(同居でも別世帯にすれば 同じ介護サービスが得られます)    そろそろ老人ホームへの入所をと考え調査していますが 有料老人ホームは入所金 数十万円から数億円(5年償却)、生活費として1825万円/月要します。まさに金次第です。諦めて既に特別養護老人ホームへの入所を申請していますが 200300人待ちで何時になる事やら… 更に老人社会を見越して厚労省は資産・遺族年金からの負担金見直しを決めています。

終末に向けて

母の終末に向けて種々争い事を防ぐ為 また認知症に認定される前に 自筆遺言書を作成(本来公正証書による遺言書にしたかったが…)して貰い 更に終末に向けて母は長女と小生、かかりつけ医師と相談の上「終末期医療拒否文書」を作成。その後今日流行りの自分の葬儀内容・墓等の希望をまとめたエンディングノートを作成をしました。

 引続き葬儀について 葬儀社と相談。過去親族・知人から葬儀費用が思っていた以上に高く付いたとの話から事前調査をする事にしました。各社とも種々セット料金が明示されているもののオプションや諸経費で不明な部分が多く 勧められるままに採用すればとても高額なものになることも判りました。当日慌てない様に予め内容を決めて置いてムダ(?)な出費をしない対応が必要です。概略 セット料金+諸費用20万円程度です。勿論食事代やハイヤー代は別です。また戒名等は菩提寺と相談する事になりますが 数秒で戒名+経費で 「ハイ数十万円!  には愕然としました。これも金次第の感を拭えません!

最近 近所でも家族葬や直葬の親しき人のみによる葬儀が増えています。一方京都市の葬儀費用の平均は154万円(全国平均120万円)だそうです。

まとめ

 介護は 知識だけでなく実際に行ってみないと 介護の厳しさが判らないのが実感です。

私達夫婦 そして先輩諸氏にとっても 子や孫・親族等に「負の遺産」を残さない為に 終末をどのように迎えるのかが重要な関心毎です。遺言書やエンデイングノートを作成した後に 「ピンピンコロリ」を迎えたいものです。ちなみに元会社の70歳代以上で先日懇親会を開き これが話題になりましたが 約3割の人が既に対応済で 心置きなく人生のロスタイムを楽しんでいるとの事でした。小生も遅ればせながら 急いで取掛からねばと思っています。